エロゲ

終ノ空素晴らしき日々を読了。2月の半ばからのんべんだらりと読み進めてたらもう5月。
99年に発売された終ノ空への「決別」と称された2010年に発売された素晴らしき日々なんですけど、決別というよりはLeafが過去造り出した作品への「贖罪」として発売した天使のいない12月に通じる部分があるようにも感じた。
終ノ空に関しては哲学書からの引用がありつつも終始腑に落ちない物語の運びになっていて正直ライター自身の博識っぷりをひけらかされている印象が拭えずにいたけど、素晴らしき日々終ノ空の根底はしっかり固めつつもまったく違うアプローチからの作品で、伏線回収の気持ちよさはかなりのもので、かつ締めるところはしっかり締めてくれて、それでいて読み応えのあるボリューミィなテキストに久しぶりにどっぷり浸かることができた。
登場人物について言えば主人公格がとにかく清くてもう聖人気質ばりばりでもろに作り物っていうところのとっつきにくさはあったけど、そのおかげで3章高島ざくろシナリオでのルポ本digっただけはあるシナリオや登場人物の生々しさやリアルさや弱さが凄い際立って、ここのシナリオだけに関して言えば終ノ空を先ず触れてからだと楽しさが何倍にも膨れ上がると思う。それぐらい楽しかった。特に2章3章と絡むざくろの友達「橘希実香」の心理描写は今作品で一番楽しい出来だった。
物語全体を通しての感想は事細かにはもう何も言えないので割愛して、最終的には終ノ空素晴らしき日々で何度となく出てきた実在する哲学者ウィトゲンシュタインの残した「語りえぬものについては沈黙しなければならない」というところに上手く収束したって感じでした。